この記事ではSPring-8で実験をする研究者に必要な情報を全てまとめました。
そんな悩みもこれを読めばすべて解決。SPring-8に行くときにはぜひ参考にしてほしい。
Contents
1.SPring-8(スプリング-エイト)とは
SPring-8が兵庫県佐用郡佐用町にある大型放射光実験施設であることは言うまでもない。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8 GeV(80億電子ボルト)に由来していることも言うまでもない。

出典:SPring-8とは?
硬X線(300keV)から軟X線(170eV)までの広い波長範囲で世界最高クラスの輝度で測定が可能。そのうえ、ガンマ線や赤外線も利用出来る。
だから研究室の何百万円レベルのX線放射器では検出できないような精密なスペクトルを測れる。今回は銅(Cu)の発光スペクトルの測定のために利用しました。
2.SPring-8への行き方
SPring-8の最寄り駅はJR相生駅。ただ、最寄といっても車で20分ほどかかります。バスなら40分かかるみたいです。
電車で行く方法は以下の2つ。
1,新幹線を使うパターン
新幹線が「相生駅」に停車するのでこだまかひかりの一部車両を使えば一本で行けます。
所要時間の目安 | 料金の目安 | |
新大阪⇒相生 | 約42分 | 4420円 |
京都⇒相生 | 約1時間0分 | 5070円 |
広島⇒相生 | 約1時間37分 | 7340円 |
博多⇒相生 | 約2時間9分 | 13080円 |
大阪府内や京都府内から行く場合は新幹線を使っても快速電車を使っても所要時間があまり変わりません。だから2,鈍行で行くパターンがおすすめ。
2,鈍行で行くパターン

大阪側から行くときには姫路が終点の電車が多いです。姫路で乗り換えてその先の相生を目指します。播州赤穂行きに乗れば姫路で切り離して前車両は相生まで1本で行けるから楽でした。
3.必ず持っていかなければいけないもの
はじめてSPring-8に行くときには何を持っていけばいいのか不安だと思います。これだけは絶対に忘れてはいけない!というものはこの2つです。
1.個人被ばく線量計
2.実験ノート
実験者として行く場合は必ず「個人被ばく線量計」を持っていきましょう。研究室に所属しているなら毎月貰っているはず。
それと実験者なら「実験ノート」を持っていかないと「何しに来たん?」ってなります。私は今回、最大限の注意を払って忘れず持ってきました。
1,あると便利な持ち物5選
1,文庫本(暇が多い)
2,パソコン(フリーWi-Fiがある)
3,カップラーメン(宿舎に電気ポットがある)
4,割り箸(カップラーメンが食べられなかった)
5,眠気覚ましのガム(しばしば徹夜の実験になる)
実験はコンピュータ管理されていてボタンを押すだけですべてやってくれるカンジでした。入射する光のエナジーを変えつつ、当てる角度や検出器の位置まで全自動で制御されていてびっくり。
めちゃくちゃ楽でしたが、一回ボタンを押したら3時間待ちとか6時間待ちとかが普通のようでした。堪ったもんじゃない。暇つぶしに文庫本を持っていくか、私のようにフリーランスの人はパソコンがあるといいですね。
それから詳しくは後述しますが宿舎に帰れば電気ポットがあるから家からカップラーメンを持っていくと腹が減っても死なない。食堂の隣に小さな売店があるんですけど、実験が不規則なのでなかなか行けませんでした。行けたとしても20時以降は閉まるから買えないこともしばしば。
私は家からカップラーメンを持って行ったんですけど割り箸を忘れたのでお湯を入れて3分後に後悔しました。割り箸を忘れないこと。これは注意してください。ちなみに売店には一応売ってますけど。
一回ボタンを押すと3時間以上寝ててもよかったですが、眠気覚ましがあればもしものときに安心です。ビームラインによると寝れないところもあるようです。
4.宿舎棟や食堂のあれこれ
宿舎の部屋には何があるのか、広さはどのくらいなのか、食堂はいつまで開いているのか、美味しいのか、一度行けば分かったんですけど、行くまでは小さなことが気になったのでそんな悩みにお答えしていきます。
宿泊棟
宿舎はカードキー式のマンションタイプで一人部屋にしては驚くほど広い。ベランダも含めて全面禁煙である。




これが一泊2000円(税込)。お風呂も自動給湯でため放題。かなりいい湯だった。
歯ブラシとバスタオル、フェイスタオルはついているがカミソリはない。冷蔵庫と電気ポットがあるので飲みものは自由に冷やせるしカップラーメンがいつでも食べられる。お箸などはないので割り箸がないと3分後に後悔する。気を付けたい。
宿泊棟にはパブリックユースの自転車が置いてあるので実験棟まで自由に乗って使える。自転車で2,3分なので歩くと10分くらいかかる。そういえば傘もパブリックユースだ。
食堂棟
宿泊棟と実験棟のちょうど間くらいにあるのが食堂棟である。中には売店もある。ATMもある。

食堂(営業時間)
朝食 | 7:45~9:30 |
---|---|
昼食 | 11:30~14:00 |
夕食 | 17:30~19:30 |
プリペイドカードを食堂入り口脇で購入する必要があり、1000円単位である。帰りに使わなかった分は払い戻しが効く。私は2000円入ったカードを一度失くして戻ってこなかった。気を付けたい。

豚肉の塩麹焼きを頂いた。納豆とかプリンとか付けたので高くなったがこれが650円くらいだ。カレーライスなら330円で食べられる。
売店キラリ(営業時間)
平日 | 10:30~20:00 |
---|---|
土日祝 | 11:00~14:00 |
パンとかお茶とかペンとかが売ってる。駅ナカのkioskみたいな感じ。SPring-8記念Tシャツなんかも売っているが今回は泣く泣く見送った。
ちなみにSPring-8から一番近いコンビニはローソンだが、7キロ先だ。坂道で電灯もないので自転車で行くのは辛すぎる。
5.実験にふさわしい服装とは
SPring-8でのメインは実験である。実験にはどんな服装がふさわしいだろうか。
結論から言えば特に規定もないし好きなものを着てこればいい。
室内は25度か26度に保たれていて(10月中旬)寒くも暑くもない。外に出ればぐっと寒いから防寒具は持って行った方がいいが、実験棟内では長袖長ズボン1枚ずつで十分に快適だった。
ジャージで実験しても構わないが、もし偉い先生にばったり会う可能性があることを考えれば控えた方が良いらしい。
スーツでバシッと決めている人はいなかったので逆に浮くからやめた方が良い。
6.まとめ|割り箸をお忘れなく
「一度は回ったほうがいい」と言われたから、実験リング内を一周してみた。


SPring-8の実験リング内はこんな感じ。屋内を自転車で回るから違和感があります。一周2キロ弱あるリングなので一周するのに10分~15分くらいかかります。最後は屋内自転車も慣れました。
この実験リング内にある自転車は実験リング内しか使えません。宿泊棟まで行くには外の自転車に乗り換えなければいけないことには注意。
世界最先端の研究施設の全貌を紹介しました。SPring-8に行くときには割り箸は忘れないように持っていってほしいと思います。